「ラストメール」 その三十六 徳満耕史

『犯人が捕まりました』

あの日と、同じ場所で秀雄さんが見つかったから、直感で犯人はあの日のレイプ犯じゃないかと思ったの。
もし、違っても何かの参考になればと思って、あの日変態君から取り上げたビデオを警察に渡したのね。
それが、手がかりとなって捕まったのよ。
やっぱりあの時のレイプ犯だったのね!
秀雄さんの命を奪ったのは!

秀雄さんすごいね。
あの時、ちゃんと変態君から証拠ビデオ取り上げていたから犯人が捕まったのよ。
でも、犯人は捕まっても、秀雄さんは帰ってこない。

親には、レイプされかかったことがバレちゃったけど、秀雄さんをこんな目に合わしたあの男が許せなかったの。
それからね、変態君も捕まったのよ。
いい気味だわ。

『決めました』

秀雄さんが、前の仕事に復帰した時、多くの人が喜んでくれていたでしょう。
お葬式で一生懸命仕切っていた人達が、お仕事の仲間だったと、先日奥さんから聞かされた時に決めたのよ。

秀雄さんがやり残したことを私が引き継ぐって。
それで、昨日から秀雄さんのパソコンに残っていた資料を頼りに、メーカーさんとお得意先にお邪魔したの。

「私は、下仮園秀雄の婚約者です。
下仮園の遺志を継いで必死に頑張るので、私にも同じ仕事を続けさせて下さい」

って一軒一軒必死にお願いして回ったの。
そうしたら、みんな喜んで応援してくれるって。

秀雄さんは私には話してくれてなかったけど、いずれは私と一緒に仕事をして、結婚するかも知れないって、お仕事の仲間の方にはお話していたのね。

それを聞いて、私、もう嬉しくて初対面の方の前なのに泣いちゃった。

みなさんの間では、私の事を女神ちゃんって呼んでいて、早く秀雄さんとのところで一緒に働いてくれないかな!って思っていたと、言って下さったのよ。

それからね、いろいろ秀雄さんの昔のお話も聞けちゃった。
それと、ホームページの製作も任せてね。
元、インストラクターの意地にかけても、秀雄さんが作りたかったホームページを作るわよ。
もう、いつまでも泣いて居られないわ。
紗希、頑張るからね。

『笑ったよ』

ほんの今まで、娘さん二人、ここに居たのよ。
パパが最後はどんな所で暮らしていたか、妹の亜希ちゃんが一度は見ておきたいって。
それと、パパが再婚したいと思った人がどんな女か確かめてやるって。

でもね、秀雄さんがちゃんと娘さん二人にもそれぞれに手紙を書いていてくれたから、最初から打ち解けて話せたの。
色々聞いたわよ。
家族の前では平気でオナラするし、酔っ払ったら何処でも寝ちゃうって。

「こんなパパと結婚したら紗希さん、苦労するから結婚しなくて良かったね」

なんて真顔で言うのよ。
逆に、気をつかってもらっちゃた。
それで、こんな美女三人を心配させて、何処に行っちゃたんだろうね?!
って、もう秀雄さんの悪口合戦になっちゃった。

あの日、佳織さん、この部屋に来ていたでしょう!
こんなに汚い部屋だったら新しいお嫁さん来ないよってメールしたら、ちゃんと掃除してくれる人を見つけるから心配するなってメール返したんだって!

今日、佳織さんが来て、本当にお掃除の上手な人を彼女にしたねって褒めてくれたよ。
嬉しかった。
秀雄さんが居なくなってから、初めて笑ったわ。

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