「ラストメール」 その二十八 徳満耕史著

変態野郎のアパートの部屋に行き呼び鈴を押した。
ドアが開いたと同時に、足をドアの内側に入れ、体を部屋の中にすべりこました。
部屋の主は、いきなり男が部屋に入ってきて驚いた様子だったが、後から紗希が入って来たのを見て状況を理解したようだった。

「こんにちは、変態君。
今日は、紗希と別れてもらいたくて一緒に来た。
素直に言うことを聞けば、手荒なマネはしない。
けれど、抵抗するなら容赦はしない。
俺は、君とは初対面だけど、
君は俺のことを知っている筈だからね」

「貴方の目は本気ですね。
又、悪魔の餌食が一人増えたということですか。
あの男のように鼻を折りたくないので、抵抗はしません。
なんなりとどうぞ」

「まずは、レイプの時のビデオ。
そしてそのコピーしたものがあれば全部出してもらおうか」

このビデオでの証拠は、レイプ犯がもし接触してきた時の盾になる。
レイプ犯が脅迫してきても、警察にこの証拠を差し出すと言えば手出し出来ない。
変態君がレイプに関する記録ビデオ・DVDを差し出した。
それを、担いできたリュックに詰め込んだ。

紗希に、用意してきたダンボールに、部屋にあるレイプビデオ以外のあらゆるビデオカセット・DVD・USB・CD・フロッピー・デジカメ・外付けHDなどの全ての記録メディアを詰めるように指示した。
おびただしい数のビデオやDVDは段ボール箱10個ほどにもなった。

変態野郎は、紗希に関係のない仕事やプライベートの大切な資料もあるから全部持っていくのは止めて欲しいと懇願した。
しかし、いちいち中身を確かめているヒマはないし、今までにしたことを考えれば、これ位の犠牲は当たり前だと一蹴した。

記録メディアをすべて押収した後はパソコンだ。
まずは、メールソフトを立ち上げて、変態野朗のメールアドレスのデータを自宅のパソコンに転送した。
送受信記録をすべて削除した。
さらに、変態男の携帯電話を取り上げ携帯電話に登録されているメールアドレスをSDカードに移し押収した。
更に、パソコン同様送受信記録をすべて削除した。

パソコンのデスクトップに堂々と、投稿サイトのURLをまとめたファイルを収めたフォルダがあった。

「変態君、ネットを立ち上げてくれるかな。
立ち上がったら、紗希の写真や動画を投稿しているサイトを全部開いてもらおう」

サイトをひとつひとつ開いて、投稿されている紗希の写真や動画をすべて削除した。
これには、かなりの時間を要した。
否応なしに、紗希の写真や動画を見なくてはならなかった。

ネットの世界では人気者と言われる訳が理解できた。
清楚で大人しい顔立ちに、透き通るような白い肌。
息を呑むほどの完璧なプロポーションは、男なら誰しも虜にされてしまう魔力を秘めていた。
女神のような姿の女性が、あわれもない淫らな姿をさらしているのである。
男たちには垂涎の的だろう・・・

投稿サイトの写真と動画をすべて削除し終えると次はパソコンの中だ。

「紗希、パソコンを初期化してくれ」

変態君の顔色が変った・・
多分、隠しフォルダがあるのだろう。

「秀雄さん、初期化終わったよ。
このパソコンは、買ったばかりの時に戻ったわ」

念のために、ハードディスクは抜き取って没収した。

部屋の隅々まで探して、他にパソコンはないか、携帯はないか、デジカメはないか、ビデオはないか探したが、他には何もなかった。

長い間、紗希をクサリのように縛っていた元凶はすべて解かれた。
変態野郎は、声も無く床にへたり込んでしまった。

「変態君、休むのは早いよ!
悪いが着ている服を全部脱いでもらおうか」

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