「ラストメール」 その二十七 徳満耕史著

『言っておかなくてはならない事があります』

ありがとう。
秀雄さん。
大切なことを内緒にしていたの。
彼の家に行く前に言っておかなくてはならないことがあります。

あのね、あの夜のレイプの件、私、最初から知っていたの。

彼が、一度レイプしてみたいって言い出したのね。
必死になって嫌だって言ったのに、聞き入れてくれなかった。
いつもの様に最後には、恥ずかしい写真を私の友達や身内にメールで送るって脅かされて、言うことをきくしかなかったの。
あの公園は家族やお友達と、夏になるとバーベキューをやりに行っていたから、良く知っていたの。
夜は誰も通らないことは判っていたし、とても広いから少しくらい騒いでも誰にも聞こえない。
彼があの公園ならいいだろう?って言うからつい、それならって言ってしまったの。

彼が、目的を果たしたら彼の部屋でお風呂入って着替えて帰るつもりだった。

でも、予想もしていない事が起こったの。
秀雄さんが闘ってくれた男は彼じゃないのよ。

てっきり、彼が擬似レイプみたいなことをするのかと思っていたら、全然知らない人が襲ってきたの。
本当のレイプだと分かったから、びっくりして本気で抵抗したわ。
彼は、私が襲われている姿をビデオや写真に撮って、例のサイトに投稿するつもりだったらしいのよ。
普通の写真じゃ反響が少ないので、レイプされている私をリアルに撮りたかったって・・・
後で聞かされた。
サイトでレイプしてくれる男を募集したみたい。

『反吐が出る』

いよいよ人間のクズだな。
それじゃあ、近くに変態野朗がいたんだ?

『多分』

そう、近くでビデオ撮っていたと思うわ。
そこに秀雄さんが現れて私を助けてくれたから慌てたみたい。

『それじゃあ』

その後、俺が紗希を部屋に連れて行ったことは知っているの?

『多分、知らないわ』

秀雄さんがレイプ犯の鼻を折って助けてくれたと同時に逃げて帰ったって言っていたから・・・
私と秀雄さんが今もこうして連絡取り合っていることも知らないわ。

レイプ犯からはあの後に連絡が来て「鼻が折れたけど病院には行けない。だからその分の慰謝料出せ」って言われたらしいわ。
でも払ってないみたい。
しつこくたかられたみたいだけど、脅すならビデオを警察に見せるぞって逆に脅したみたい。

『事情は判った』

クズ共がやりそうなことだな。
どっちにしても良い死に方は出来ない連中だよ。
紗希は、早くこいつらと縁を切らなきゃダメだ。

その週の週末、もう二度と会うまいと思ってカレー屋さんで別れてから三ヶ月ぶりに紗希と落ち合った。
動きやすい服装で来てくれと昨日メールで言っておいたけれども、着てきたのはあの日の朝買ったデニムだった。

「久しぶり、あの時のデニム履いてきたの?!」

「そう、あの時のTシャツも中に着ているのよ。
おうちに居る時は、いつも秀雄さんが買ってくれたTシャツとデニムよ。
何か、守られているようで安心するんだもん。
今日もきっと上手く行くと思うわ」

「そうか、上手くいくと良いな。
じゃあ、変態野郎と決着をつけに行くか」

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