「ラストメール」 その二十二 徳満耕史著

あの事件があった頃の公園は緑あふれ、多くの子供達の嬌声が聞こえていたが、新学期がはじまり次第に公園に集まる人の数も減ってきた。
紗希とは、朝と夜に必ずメール交換してきた。
紗希は両親とおばあちゃんと4人暮らしで、お嫁に行った姉がいること。

高校一年生までは成績もトップで、北大を進学希望校にしていたが、ストーカー野郎と付き合うようになってから成績が急落したこと。
高校卒業後、短大に進学したが、やはりストーカー野郎が短大まで押しかけて来る様になったので、止むを得ず短大を辞め就職したこと。
就職先でもストーカー君とのトラブルが絶えなかったことなど紗希の過去を色々と知ることが出来た。

つくづく、女性の幸せはつき合う男次第で決まってしまう理不尽さを感じた。
紗希も、ストーカー野郎と出会わなければ、北大に進学し明るい未来が開けていたに違いない。
少なくとも男性不信の悪魔に成ることはなかったはずだ。

『悪魔の行状』

秀雄さん
私最初は秀雄さんのことをどこかで信用出来ないって言っていたでしょう。
それだけ、ストーカー君や、変態君から植え付けられたトラウマ強いのね。
でもね、秀雄さんと出会ってからずっとメール交換してきて少しずつ、秀雄さんを疑う気持ちが薄れて、逆に、かけがえのない人に思えてきたの。
秀雄さんの前向きな考えと行動には、とても尊敬しています。

秀雄さんが「会社を潰した時に、迷惑をかけた人達に、お詫びしないと何をやっても失敗する気がする」って言っていたでしょう。
私も、私が今までしたことをすべて秀雄さんに白状して、出来ることなら心をすべて入れ替えて人生をリセットしたいと思う様になりました。
迷惑だと思うけど、是非聞いて下さい。

私のスクールは大通り公園の近くのビルの中にあって、交通の便が良いから色々な人が集まります。
基本的には、男性の生徒さんには女性のインストラクターが、女性の生徒さんには男性のインストラクターがつくのね。
少人数の生徒さんとマンツーマンのレッスン出来るのが売りだから、1回のレッスンはだいたい4~5人の生徒さんにレッスンしているの。
インターネットとメールだけのレッスンだから、早い人は3~4回で終了するし、遅い人でも10回もレッスンを受ければ誰でも終了するわ。
うちのスクールはチケット制なのね。
チケットを買って、講義内容の時間割りに合わせて予約すれば、何回も講義を受ける事が出来るの。
だから長くレッスン受けてもらう方が、スクールとしてはありがたいの。

色々な人が、レッスンを受けに来るけど、幸せを絵に書いた様な人も来るわ。
履歴書を見れば、どんな環境で生活しているのかだいたい分るでしょう。
そんな人を見ると(この人も墜ちるかしら?)と凄く興味が沸くの。
悪魔の血が騒ぐというか・・

メールのレッスンの時に、こっそりと自宅のPCのメールアドレスを教えて「特別に課外授業してあげる」って誘うの。
レッスンが終了すると、卒業お祝いだと言っては、食事に行ってそのままホテルに行っりしたわ。
でも、それで終わり。
結局、どんな愛妻家でも間違いは犯す!と確認したらゲームは終了。
どこかで、私の誘いを頑として受け付けない男性を探していたのかも知れない。

学生や年配の人にはね、メールで弄ぶの。
メールレッスンの時に、フリーメールアドレスを取得してもらって、生徒さん同士や私とメール交換するのね。
画像添付のレッスンの時は、わざと私の下着姿の写真を添付して送るのよ。
もちろん、顔は映っていないけど、私の顎の下にほくろがあるでしょう。
そのほくろを強調して映した写真だから、私だって事はすぐ判るの。

間違いなく、その返信には「下着の中も見てみたい」って書いてくるわ。
そのうち、レッスンも終わるからメールもフェード・アウトしておしまい。
何で返事くれないのって、しつこくメール来るけど無視。

まだまだ、色々な悪魔の行状はあるのよ。
でもこんなお話、秀雄さんは読んでいても楽しいはずないよね。
秀雄さんが知らない私の一面も全部知ってもらいたかったの。
私、心を入れ替える。
私が見てきた人とは全然違う男の人がいることがわかったから。

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