「ラストメール」 その二十一 徳満耕史著

『ありがとう、気持ちだけもらっておくよ』

紗希を利用して金儲けしたんじゃ変態野朗より質が悪いよ。
それにしても、さすがにインストラクターだけあってインターネットのことは詳しいね。

『仕事柄』

生徒さんがインターネットに興味を持ってもらうために、予め色々なサイトは見ておかなくてはならないって思って・・・
時間があればいろいろなジャンルのサイトを見ているの。
政治・芸能・スポーツ・お料理・旅行・音楽・ショッピング、それにアダルトも。

色々な生徒さんがいるから興味のありそうなサイトを教えてあげたりするためにね。
逆に生徒さんから面白いサイトを教えてもらうこともあるのよ。

特に、アダルト系のサイトは騙されて違法な請求されたり、間違って有料サイトと契約したりする事が多いから、生徒さんには注意しているの。
アダルトサイトの場合だと、他の人に相談できなくて泣き寝入りする人も多いの。
だから予め勉強して、なるべく自分の生徒さんから被害が出ないように心がけているわ。
生徒さんが、私の写真が投稿されているサイトを見たりしないかドキドキよ。

『なるべく早く』

紗希が安心して仕事が出来るように、早く変態野朗との縁を切らなきゃ駄目だな。

『でも・・・』

また、秀雄さんが怪我でもしたら・・・
私はどうやって償いして良いか判らない。

『紗希だけのためじゃななく』

変態野朗にはものすごく腹が立っているけど、それと同じくらいモラルが無くなった今の世の中に腹が立っている。

援助交際、ゲーム感覚のエッチ、集団レイプ、ストーカー、変態、子供が子供を育てている現状、躾が出来ない親、パチンコに夢中になって子供を死なす親、幼児虐待、親族殺人、ニート・・・・

俺が紗希くらいの歳の頃と今と比べたら、同じ国なの?と疑うくらいおかしな国になってしまった。
ストーカー野郎も変態野朗も、今のゆがんだ世の中が、作り出したのかも知れない。
ある意味、被害者である変態野朗の目を覚ませてやることも必要かなと思うんだ。

『そう思うわ』

IT技術の進歩が、色々なところに弊害をもたらしているかも知れないわね。
見たいもの、知りたいことは何でもインターネットで実現出来ちゃうし。
我慢することが出来ない子供が増えたって聞くもの。
考えてみれば、ストーカー君も変態オタク君も、自分の欲望を我慢して抑えることの出来ない人達なんだわ。
自分の欲望を満たすためなら、人の痛みも感じられない人間になってしまったのね。

『紗希の言う通りだ』

俺が目指すホームページは、収益性よりもホームページを見てもらう人の利便性を重視した北海道版のミニポータルサイト的なものにするよ。
ニュース・天気予報・道路ナビ・マップ・コンサドーレ・日ハム情報など「北海道の事なら何でも判る」そんなホームページにしてみよう思う。
その中でも一番やってみたいのは、新聞や雑誌には載ることのない様な小さな出来事の情報発信。
素晴らしい商品だけど埋もれてしまっている商品を、日のあたる場所に出してあげたり、近所で美味しいと評判のお店などを紹介したり、頑張っている人や会社の特集を組んで紹介したり、身近に役立つ情報を配信するホームページにしていきたい。

明日からは、バイトのない日は、一日中色々な場所に出かけて、写真を撮ったり、評判のいいお店に出向いて取材させてもらったりと、ホームページに載せる資料つくりに頑張ってみようと思う。

『やっぱり、秀雄さんね』

自分のことよりも、困っている人や、力の弱い人の味方になるなんて・・
今、自分も窮地に居るのに・・
私も、出来る限りの協力はするわ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です