「ラストメール」 その十一 徳満耕史著

『本当にありがとうございます。紗希より』

秀雄さん、本当にありがとうございます。

あんなことがあった直後なのに、のこのこと男の人の部屋に行くなんて、変な女だな・・・と、きっと思ったことでしょうね?!

それに、ずいぶんと落ち着いている女だなあ・・・って、思ったでしょう?!

それには、少し訳があるの。

もし、秀雄さんが嫌でなかったら、そのことも少しづつお話しさせてくださいね。

昨日、私の本当の胸の内を明かすとね、秀雄さんから「俺の部屋においで」って言われた時、きっと今度は秀雄さんから乱暴される・・・と思ったの。

でも、あの格好では他に行ける場所も無いし、乱暴に公園でレイプされていたと思えば、部屋の布団の中なら、まだマシかなって覚悟したのよ。

今まで出会ってきた男なら、きっとみんなそうしていたと思うわ。

でも、秀雄さんは違った。
成り行きとは言え、私のことを命がけで守ってくれた。

そして、犯人がいなくなった後、私が声をかけたら『怪我は無い?』って聞いてくれたでしょう!
自分は大怪我しているのにね。
私がうなずくと、今まで命がけのケンカをしていた人とは思えないくらい優しい笑顔で、私の無事を喜んでくれた・・・

すごく嬉しかったわ。

ひょっとしたら、秀雄さんは今まで私が出会ってきた男性とは、違う世界の人かな? と思ったのね。

でも、「お願いがある」って秀雄さんが言った時は、やっぱり今までと同じ世界の男の人だった・・と思った。
きっと、次に出てくる言葉は『さっきのお礼に、抱かせてくれないか?!』だと思ったから。

でも予想に反して「お願いだから、寝てくれ」って言われた時は、とても不思議な気持ちになったの。

小娘が偉そうなことを言うな!と、叱られるかも知れないけど、秀雄さんがとても愛しく思えたの。
そして、こんな人のそばにずっと居れたらいいなあって思った。

食事の後も、お仕事に行く時間までずっと一緒に居たかったのに・・・
お店を出たら直ぐ背を向けて歩き出すから、声もかけられずにとても悲しかった。

だから、今、お家に帰ってきてすぐこのメール書いています。
お仕事、終わったら、夜にまたメールします。

もしその前に、このメール読んで下さっていたら、秀雄さんからのメール読みたいなあ~。

紗希より。

PS
「両親には昨日の事は全く気付かれませんでした。
秀雄さんのおかげです。」

わずか、数時間前に別れたばかりなのに、ずいぶんと前に別れた様な気がした。。
そして、返事を書いた。

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