おもかげ 浅田次郎著

浅田さんの作品は、初期の「きんぴか」「プリズンホテル」などのコミカルでやんちゃな作風が大好きで夢中になって読んだ。
かと思えば「鉄道員」「見知らぬ妻へ」「天国まで100マイル」などの、ホロッと涙する短編集も秀逸。

でも、歴史物、中国物、戦争物をテーマとした作品あたりから、あまり読まなくなった。
・・・久々の浅田作品。
浅田作品というだけで、かなり期待値が高くハードルが上がる。

ストーリーは、
「商社マンとして定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。
今や社長となった同期の嘆き、妻や娘婿の心配、幼なじみらの思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。
一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験を重ねていた。
やがて、自らの過去を彷徨う竹脇の目に映ったものは――。」
アマゾンより。

浅田氏、得意の心霊ファンタジー
俺にはどうもリアリティーのない作品は入り込めない。

作品は素晴らしいと思う。
浅田氏以外の作家さんが書いたなら、俺も大絶賛していたと思うけど・・・・

ただ、昭和ノスタルジーは存分に味わえる。
映画「三丁目の夕日」が好きな人は、それだけで充分に満足出来る作品だと思う。

昭和世代の人はお勧めです。

蜜蜂と遠雷  恩田 陸著

蜜蜂と遠雷  恩田 陸著

「直木賞」「本屋大賞」のW受賞作だから、素晴らしい作品であることは間違いない。

上下2段で507ページもある文量だから、さぞや読了するまで時間がかかるだろうと思って読み始めたけど、あっという間に読み終えた。

いうのも、文章が優しくて読み易いことや、すべてを書ききらず余韻を読者に任せる手法も見事だし、主な登場人物はたったの4人というのも、読んでいて迷子にならなくて済む。

ストーリーは、あるピアノコンクールの3次予選から本選優勝者が決まるまでの物語で極めて単純。

あまり読書が好きでないという人にもお勧め!

物語は、4人のコンスタントの過去から現在までのストーリーを交え、実際のコンテストも模様を描いて進む。

主人公の他にも、コンスタントを取り巻く温か且つ献身的なサポート。
コンテストのドキュメント番組を撮る女性。

審査員の過去と人間模様。

単純なストーリーに様々なエッセンスが組み込まれて、読む者を飽きさせない。

圧巻は、コンスタントが弾くピアノ演奏の描写。

曲を知らない人が読んでも、実際にピアノの音が聞こえてきそう!!

後半は、ややマンネリ感もあり、驚くほどあっけなく終わったので、ちょっと物足りない気もしたけど、まあ記憶に残る一冊になるのは間違いない。

クラッシック音楽、ピアノに全く無関心、無知識の俺でも読んでワクワクしたのだから、ピアノ経験がある人ならもっともっと楽しめる作品だと思う。

物語の中で弾かれたピアノ曲がすべて入ったCDも発売されているそうなので、そのCDを聴きながら読むのも更に素晴らしいかも・・・

アマゾンのレビューも載せておきます。

音楽の持つ絶対的な臨場感
読了するのが、惜しい気がした。
ピアノコンクールをめぐる圧倒的な緊迫感。
そして、本全体から流れ出す音楽の持つ絶対的な臨場感。
圧巻である。
筆者の持つ描写力に脱帽である。
筆者の音楽への並々ならぬ愛着が、この小説を完成度の高いものにしているのであろう。