道具箱はささやく 長岡弘樹著

1話10~20ページほどの、ショートショートミステリーが18編収められている。
あまり本を読まない人でも、1話10~15分位で読めるので、ちょっと時間が空いた時の時間つぶしには丁度いい!

短編集と言えども、気づきあり、ワクワクドキドキあり、涙あり!
長編小説を書き込む作家さんも凄いと思うけど、たった20ページ程でプロットを完成させる技も凄いと思う。
しかも、18編すべてが全く違うストーリー、登場人物、シュチエーションで、まるで18人の作家が書いたのを集めたのか?と思うほど、1話1話バラエティーに富んでいる。

本好きの人はもちろんだけど、何か本は読みたいけど、何を選んだら分からない?!という人には、是非、お勧め!

かがみの孤城 辻村 深月著

かがみの孤城 辻村 深月著

些細なことからクラスのリーダーから誤解され疎まれ、「ボッチ」になった中学一年生の女子。
あることがキッカケで学校へ行けなくなった。

自分の部屋に閉じこもった生活を送っていると、ある日部屋の姿見の鏡が光った。
その鏡を抜けると、お城。
そこには、同じ境遇の生徒が7人集まった。

この城のどこかに願いを叶える部屋があり、その部屋に入るための鍵が隠されているという。

これ以上はネタばれになるので書かないけれども・・・
実は、読み出して「失敗した」と思った。

だって、主人公は不登校の中学一年生の女子。
しかも鏡をすり抜けた先のお城で宝探し?!

基本、リアリティのない小説は感情移入しないし、まして主人公が女子中学生。
自分の子供はとっくに成人しているし、幸いなことに「いじめ」にもあわず(多分)、不登校になることもなく卒業してくれたので、申し訳ないけど小説のテーマとしては他人事に思えた。
鏡の先のお城でのお宝探し・・・

こりゃあ、還暦前のオッサンが読む本じゃないと、途中までは思ってた。
でも、後半からは俄然、面白くなってきて一気読みした。
さすが「本屋大賞」を受賞しただけのことはあるね。

同じ境遇の生徒が7人が次第に絆を深め、困難に立ち向かう姿は胸を打たれる。

それにしても、ストーリーの構成というかアイデアは、他に類を見ない素晴らしいの一言。
ひとつの物語を読んでいるのに、最終的に複数の物語を読まされていた不思議感。
そして、それが感動に変わる!

単なる、中学生の冒険ファンタジーだと、バカにして読み始めたけど、最後に泣かされた・・・・・
あまり、本を読む習慣のない人でも、優しい文章でもスッと読める本+感動をもらえる本なので、これはお勧め!!

かがみの孤城

うかれ女島 花房観音

うかれ女島、別名「売春島」

題名から、下品な官能小説を連想する人も多いと思うけど、決してそうではない。
もちろん、いやらしいシーンも多く書かれているけど、卑猥とは感じない。

人は誰でも皆、自分の心の奥にしまった「性」に対する感傷があるのでは?
その、誰にも打ち明けることのないアンタッチャブルな、一種、罪悪感的な部分を共有し、哀愁と安堵を与えてくれる不思議な作品!!

何故、性風俗に職を求めなくてはならなかったのか?
また、その後の人生は?
最後の最後のどんでん返しも見事!

本の帯と、レビューも書いておきます。

帯より

体を売っていた。
その秘密に亀裂が。

平穏な生活が終わるー。

最もむき出しに、最も正直に、性と欲望を、禁忌を、恍惚を、
人間の尊さと愚かさを謳いあげた忘却不可能エンタメ小説。

届けられた支社のメモ。
主婦、託児所のオーナー、一流企業のOL、女優。
彼女たちの接点はたったひとつ。
「売春島」で体を売っていたことだけ。

ばれるかもしれないー。

娼婦だった母への憎悪で、胸が張り裂けそうな男もまた、
母を棄てた罪悪感と愛する者との未来への希望、ふたつの感情のあいだで、ゆれるー。

心と体を痛みが貫き、やがて快感に変わる。
戦慄の読書体験を、あなたに!

 

レビュー
女性の必読書

読んだ後、泣いてしまいました。切なくて、哀しくて、胸がしめつけられるようで。

小説の中で描かれているのは、女性なら多くの人が抱えていて(よほど恵まれた人や鈍感な人は別ですが)でも、普段は「無いこと」にして暮らしている心の闇、光の当たらない部分。

逃げ出したいけれど、逃げればどこまでも追いかけてくる女の心の闇に、向き合わせてもらえた本でした。

ここまで深い女の業とでもいうものを描いた作品には、なかなか出会うことができないと思いました。

悪女、娼婦として貶められてきたマグダラのマリアは、本当はマグダラのマリアはキリストの妻で社会的な勢力から悪女として貶められた聖女だという話を聞いたことがありますが。

この本を通じて「女の本当の幸せとは?」「いままで押しつけられたきた社会的な善を疑った方がいいのでは?」なんて考えさせられました。

ぜひ読んでみて下さい。
お勧めです。

ファースト ラブ 島本理生

本のタイトルだけ見たら、ティーンエイジャーの甘酸っぱい初恋物語と思いきや、第159回直木賞受賞作とある。

帯を読んでみると・・・
「動機はそちらで見つけて下さい」
父親を刺殺した容疑で逮捕された女子大生・聖山環菜の挑発的な台詞が世間をにぎわせていた。
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、取材を始める。
自らも夫とその弟との微妙な関係に悩まされながら、環菜やその周辺の人々と面会を続ける由紀。
そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは?

おやおや、ミステリー?!

う~~~~ん、評価が難しいというか、評価が分かれる作品だなあ~~
正直なところ、最後の公判が始まるまでの間は、なんだかまどろっこしくて、さほど面白いとは思えなかった。

本筋に関係ない記述
細かすぎるディティール
文量がさほど多くないに登場人物が多い

でも、公判が始まってからの展開は予想外。
けど、ラストはさすが直木賞受賞作
きっちりとまとめて、納得させてくれるのは見事!

主人公をとりまく人物像も好感が持てて、読後感はスッキリ!!

これね・・
思春期のお子さんを持つ親御さんは、是非読んでおくべき本だと思うよ!